先週、私の新著「シリコンバレーの金儲け」が発売されました。
私にとっては、2008年の「パラダイス鎖国」、2013年の「ビッグデータの覇者たち」に続く、7年ぶり3冊目の本となります。
本当は、「シリコンバレーの歴史」の本を書きたくて、前の本を出させていただいた講談社に打診したのですが、この新書シリーズは「学問の本」ではなく、すぐに仕事や生活に役立つ身近な知識の本という位置づけなので、「歴史じゃ売れない」と却下。それで、前半は歴史、後半は同じく以前から私が構想していた「アルゴリズムは現代の金型」という造語を中心にしてくっつける、という苦肉の策をとりました。そのつもりでお読みになると、たぶんその雰囲気がおわかりになると思います。
書き始めたのはもう2年前ですが、本業の合間に書くのでなかなか時間がとれず、最初のドラフトができたのが今年1月。ちょうど日本出張があったので、ドラフトをいったん編集の方にお渡しし、見ていただいてタイトルなど決めて・・と具体的な話にようやくはいりました。しかし、アメリカに戻ったあと、3月頃からアメリカも超特大コロナ危機に突入。後半の「現代史」部分は「シリコンバレーのバブル」の話だったので、このあたりから先はほぼ全面的に書き換える必要が生じました。逆に、サクサク書いてそれより前に出版していたら、あっという間に賞味期限が切れていたので、グズグズしていたのが幸いしました。
コンサルティングを本業とする私が本を書く意味は、「ここで起きていることを日本のビジネスパーソンにわかりやすく説明して、それが対岸の火事ではなく、自分の仕事にどう関係あるかを考えやすくすること」であると思っています。本だけでなく、最近月例でやっているウェビナーも同様です。このため、これらの世界の用語に慣れていない方にもわかるように、用語解説や比喩による説明などもしています。とはいえ、たぶん読んでくださる方は、すでに起業やITについて詳しい方も多いと思うので、あまり初級本ではなく、私の同業の友人たちにも面白がっていただけるネタもなるべく盛り込む、というところを苦心いたしました。
学問的な本でなく、面白話として、難しいと思うところは飛ばしていただき、楽しんでいただければ幸いです。なお、歴史の部分については、このブログに過去にもっと詳しく書いています。ちょっと古いので、検索が面倒かもしれませんが、「ベイエリアの歴史」というカテゴリーをポチってみてください。「ナポレオンからあの広大な領地をどうやって買いたたいたのか」など、本当は本に書きたかった話がいろいろあります。