Robotics

「サード・オフセット戦略」とシリコンバレー

一昨日、Newspicksで「米国のハイテク兵器がすごい」という記事にこんなコメントを何気なく入れたのだが・・・

こんな国に勝てるわけない、というほどの高度な武器を持ってそれをあえて宣伝することは、大国同士の戦争抑止につながる情報戦。

ちょうどその翌日、地元のフォーラムに行ってみたら、米国国防省の人が来ていて、まさにこの話を始めたのでビックリ。そして、この件にはちゃんと名前がついていることも判明した。その名を「サード・オフセット戦略」という。

オフセット戦略とは、予算や兵員数などある部分で仮想敵国に対し自国が劣っている場合、別の面で圧倒して力の差を打ち消す(オフセット)という軍事戦略用語で、米国の場合はその「別の面」とは常に「最新鋭技術」である。ファースト・オフセットは第2次世界大戦時の核兵器。しかし、大戦後にソ連陣営が追いついてきたので、今度は70年代から、インターネット・GPS・ステルス機などによる「セカンド・オフセット」を実施。湾岸戦争ではその成果を見せつけて世界に宣伝する結果となった。ところがそれで安心していたら、最近ではロシアも中国もまた追いついてきてしまった。

それで、今度は3番目の新しいオフセット戦略を実行する、ということが2014年に発表されている。技術要素としては、ディープ・ラーニング、ドローン、ロボティクス、メッシュネットワークなどといったものが想定されている。

そして、「民間の新興企業との協力」というのも、そのコンセプトの中にしっかり含まれている。この方針に基づき、昨年秋に、国防省のリエゾンオフィスがシリコンバレーに設立されたのだそうだ。やっていることやその苦労話は、AT&Tのような米国の域外大企業がシリコンバレーとのつきあい方に四苦八苦しているのとまるっきり同じである。

ということで、私のコメントはだいたいあってたと、ちょっとドヤ顔したかったので書いてみただけだ。

(写真は2014年にサード・オフセット戦略を発表するヘーゲル国防長官。出典:米国防省)